コスプレしようと思ってるけど踏み出せない、という話をよく聞きます。
始めるつもりだけどもっと痩せてから、もっとメイクが上手になってから。または、見た目に自信がないからできないよ〜というのも。
でも、そう思うなら、個人的には逆に
今すぐ始めた方が良いよー!
と言いたい。
なぜなら、コスプレの技術こそが容姿コンプレックスを消してくれることが多いからです。そして、その技術は実作業の過程で飛躍的に伸びるものだから。たとえば「痩せたらやる」より、一秒でも早くやりながら痩せた方が理想へのゴールは絶対に早いです。
コスプレで身につくことってザックリ考えるだけでも以下のものがあります。
- メイク
- ヘアセット
- 服飾技術
- コーディネートへの客観性
- 自分の容姿への客観性
これらはオンオフ問わず「装う」能力を飛躍的に伸ばしてくれるので、コスプレ撮影時だけじゃなくてほんの些細な毎朝の出かける用意にも自然とその技術が反映されます。
そんなに普段は気合入れないから別に…などと思うなかれ。装う技術があると逆に装わなくて良い時がわかるので、手を入れるべき時と入れなくて良い時がハッキリわかって、手を抜いて生きていきたいマンの人生もより楽になります。なんかもう一石二鳥なんですよ。
コスプレ活動の最大の難点はお金がかかることなので、資金難だから見送ってるって人だけは先に収入と貯金を安定させてからの方がいいと思うけど、それ以外の理由で思いとどまってる人は、今すぐ始めちゃうのがいいと思います!
以下、もうちょっと詳しく思っていることを、長いテキストですがつらつら書きます。長いです。ほんとに長いから適当に読み飛ばしてもらっても大丈夫👍
コスプレは総合芸術
コスプレと漫画って似ているところがあるな〜と個人的には思っていて、それは総合芸術であるところ。芸術というと大げさな感じがありますが、複数分野の芸術(技術)の組み合わせで生まれる作品と言えば伝わるでしょうか。
漫画は脚本・演出・作画がないと成立しないし、コスプレも衣装などの服飾・被写体としての素材の自分・魅せるためのポージング。撮影コンセプトがないと成立しない。それらを自分でぜんぶやるところがどちらも似ています(今は分業型の方も多いみたいですが…!)。
だから、コスプレって何なのって言われたら、ビジュアル系総合芸術だよ、と言っていいと思います。芸術って響きがあまりにアレですが、私はそう思って皆の写真や動画を見ています。
※ここではこういうコスがしたい!って撮影して写真や動画にするタイプの話なので、コス交流型の活動はまたちょっと別枠としておいてください〜。
総合芸術を支える5つの技術
複数分野の技術ってなんだ、という話ですが、最初に述べたように大まかに下記5つになるかなぁと思います。
- メイク
- ヘアセット
- 服飾技術
- コーディネートへの客観性
- 自分の容姿・動きへの客観性
これが得意とかあれは苦手とかそれぞれにあると思います。でもやればやるほど全技術は底上げされていくことになるし、苦手でも形にするというギリギリのところまではだいたいの人はできるようになるものです(とはいえ、本当にやるのが辛くて苦手だと思う作業なら、オーダーに出したり友達と分業制にするっていうのもアリですよね)。
以下詳細です。
メイク
言わずもがな、コスプレというと最初にイメージするのがたぶんメイク。メイクって陰キャだと(私だよ)あんまりこだわりなくても過ごせちゃったりするじゃないですか…まぁ色ついた日焼け止め塗っといたらどうにかなるわ〜みたいな。
でもコスプレすると、どうやったらバエるのかを考えないとキャラに近づけないので、絶対にある程度のことをおさらいしないといけない。で、何度か撮影してデータと自分を見返すと、「あっここまでやらないと見えないのか」とか「これはライトが当たっても飛ばなくて不自然になるのか」とか、そういう気をつけると効率の良いポイントが見えてきます。
似合う色や線の描き方もわかってきます。そうやって腕が上達していくにつれ、普段のメイクにもその技術が反映されてメイクが楽しくなる、という好循環が生まれます。
ほぼすっぴん陰キャだった人間も、コスプレを始めたことで化粧で偽装するところまで成長できました(私のことだよ)。
ヘアセット
コスプレにおいてウィッグって顔面メイクよりも重要ですよね。髪型のシルエットを再現できるとウィッグからの視覚補正がかかってなんかキャラに「見える」んですよ。
逆に言えば、いくら美人顔してても髪型が全然違うとまったくキャラに「見えない」。
ゆえに、誰しも撮影回数を重ねていくうちにウィッグセットを真剣にやるようになります。周囲を見ていると撮影前に毎回セットし直してるので(私もしてないと怒られる時ある)、皆だいたい同じ認識だと思います。
で、ヘアセットに関してはウィッグが相手なので製作時は360度チェックしながら作業します。そこから写真に撮った状態と目視での印象の違いっていうのも学習することに…
なんかね、違うんですよ、セットして目で見てる時の印象と、撮った時の印象。欲しかったはずのボリュームが悪い意味で3割減になるのに、これでいけるだろって誤魔化した要らんボリュームゾーンは3割増しに見えるという…。
その感覚のすり合わせと微調整を重ね、ウィッグが徐々に作れるようになってくるんですが、この上達もリアルのヘアセットに反映されます。「360度から見た時の髪型」がなんとなくイメージできるようになるので、普段の簡単なヘアセットでもえぇ具合にできる率が飛躍的に上がります。
ウィッグセットしていく中で謎の編み込みとか謎の流し前髪とか絶対作ることになるので気合を入れたい時に活かせそうな技術も得られます。たぶん、友達の結婚式の二次会レベルのヘアセットなら、レイヤー歴長い人は自分でできるようになると思う。エコですね💴
服飾技術
服飾に関してはいくつか記事を先に書いていました。が。
私も最初はほんとになーんにも作れなかったんですよ…ほんとに!!!
わかんないから型紙本買ってきて作ったら自分にぜんぜんサイズ合わないし、形も気に入らないし、布はヨレヨレだし、というところからスタートしたので、作れないってコスプレ始めない人にはほんとに
「やってみたらなんとかなるよ〜〜〜!!!!」
と叫びたい。
衣装製作、私はまじで大して好きじゃないです。でも推し再現したいから血反吐で我慢して作ってるだけです…(コスプレすすめる人間の放つ単語か……?)でも、どんなに興味がなくてもとにかくやっていくと素材とか形とかのデータがある程度たまっていくんですよ。そうすると、髪や顔と同じで「これだとこう見える」というのが徐々にぼんやりながらも見えてくるようになります。
そうすると既製品でもココつまめば綺麗に見えるなとか、普段着でも太って見えるからここちょっと絞って着るか、とかできるようになってきます。既製品改造ネタはこれですね。
自分の体型のクセも見えてきます。体型がわかると服のカスタムや制作の面白みがグンと増すのと、コーデへの適応力も上がるのがわかって自分でも楽しくなってくると思います。
自分の身体への客観性
自分に合わせて衣装を調整することは、自分の体のバランスやサイズを自覚しないとできません。顔は鏡でじっくり眺めても、自分のスタイルについて熟考する機会って意外と多くないと思います。コスプレをしているとこのノルマが強制的に課せられます。
最初は実際に着ながら感覚的に直していくだけですが、それも着数が重ねると「あ、自分は標準サイズより胴が長いんだな」(私だよ)とか「厚みがないから体の横に模様が入っても見えないんだな」とか(私なんだよ)、そういう自分の身体の持つ形のクセがわかってきます。
そうすると、普段着る服でも選び方がちょっと変わります。見せ方重視の服(=衣装)を追求することで普段着選びではまぁいいかと見過ごしていた「こうだったらもっと綺麗に見える」ポイントがわかるようになります。
もとから服飾に興味があっておしゃれな人も、一切興味がなかった人も、そこから得られるものは大きいのではないでしょうか。
「自分の姿」への客観性
最後はもうすでに総合・全体でのことになってしまいますが、コスプレをすることで得られる一番のことって、自分の容姿や振る舞いへの客観性だと思っています。
と言っても、私はコスしてすぐ自分が冷静に見られるわけではなかったです。最初の頃は撮影から1週間は寝かせないとデータの自分が恥ずかしくて見られなかったし、今も正直言うと一ヶ月くらい置いてからの方が他人ごとのようにデータを見られて判断つけやすくて良いです。
自分のことってなるとなぜか目が曇ってしまって、鏡でチェックした時は「今日は天才だ!」て思ったのにデータ確認したらカメラマンに土下座案件で謝罪LINE飛ばしたこともあります…
私はコスプレを始める前も、始めた後(今)もずっと自分の顔や体は特に好きじゃなかったし、写真に写るのもめちゃくちゃ苦手でした。写真は、脳内の自分の顔や体よりもさらに醜い現実を突きつけるだけの拷問だったから、陽キャの「記念写真とろーよ!」には勘弁しろ…ていつも思っていました。
じゃあなぜコスプレイヤーをしてるんだと言われると、私も推しの服を着てみたい…一回だけ、同じ格好をしてごっこ遊びを楽しんだら満足しておしまい…そう思って始めたことだったんです。お友達と数ヶ月かけて衣装を準備し、よくわからない撮影会の予約をしてカメラを握りしめて出かけました。
最初のコスプレのデータは技術0の棒立ち着ただけちゃんでしたから、とうぜん超絶黒歴史です。でも、キャラの格好をするという体験は、すごくすごくすごーく楽しかった。推しと同じ服を着て同じ髪型になって記念写真撮れて大満足でした。当時付き合ってくれたお友達には本当に感謝しかないです。
で、撮影したら写真を見ることになるんですが、最初はここがつらかった。キメたつもりだけど棒立ちじゃん…とか、いや笑い方エグいなとか、シャッター数が多ければ多いほど、自分で自分の理想と現実のすり合わせを大量に行なうことになります。これがね、地獄タイム。
普段は自分の容姿や立ち姿なんか意識してないんだもん(私は)。いきなりそういう人間が現実見るとメンタルはもうバチボコですよ。
でも、そのきつい状態があまりに悲しいから、次はもっと上手にやりたいって回数を重ねることになるんです。そうするとやっぱりね、なんかわかってくるんですよ。自分はこういう感じに映るし、こう見えるんだっていうのが。
物量で心を折られて「ワイの外見はこう」「ワイの動きはこう」と素直に認められたら、そこからがスタートです。
コス写真の場合は編集してから表に出すので、その際に元のイラストや自分の理想に沿ってちょいちょい修正しますよね。パーツの位置とか自分の厚みとか。私はメイクの濃さはもちろん、ウィッグの形も調整するし、衣装だって肩幅とか尻のサイズとかしれっと直します。
その作業ってつまりは自分へのダメ出しなので、私はレタッチ時は大反省会だと思って作業していて、そこで直したくなった部分は次回撮影時にはリアルで修正反映させておこうって思いながら見ています。
違うところは素直に認めて反映させる。自分を他人ごとのように客観的に眺めてダメ出しをする。これを繰り返せば! 推しに近づける!! そう、下手なほど伸びしろはあるってことです!(ポジティブ
で、これも当然普段に反映されていきます。人から見た姿勢がわかるようになるから、集合写真一つとっても立ち方が変わってくるし、お洋服の選び方も、コスプレで着たあの衣装のデザインが意外と合ってたから、私服でも挑戦してみよう、とか。
より自分に合う物、見せ方が前よりわかっていろんなことがやりやすくなります。
コスプレでコンプレックスを乗り越える
以上、コスプレを始めるとどれだけいろんなスキルが上達するか、それが自動的に普段に反映されるかというお話でした。
見た目に自信がないからできないよ…と言う方の気持ち、めちゃくちゃわかるんです。自分も最初それで躊躇してたので。でも、コスプレ趣味って自分が好きだからとか、自分の写真が欲しいからやる趣味ではないんですよね。推しと一体化したり、好きな世界に没入体験するのが楽しいんです。
だから容姿の良し悪しや自信の有無とコスプレをするしないって関係ない。
自信がないなら、逆に今すぐスキル磨きを兼ねた撮影に挑戦しちゃって(普段って失敗が怖くてあんまり挑戦できないじゃないですか。でも撮影だったらその場で修正しても誰も笑わないからいっぱい挑戦して学習できる)、それを普段に逆輸入して、見た目に自信がないっていうのを力技の技術で払拭しちゃうのをおすすめしたい。
ここではコスプレの技術がリアルにも活きるという話をしていましたが、その逆ももちろんです。容姿に関わる普段の知識もコスにはすごく役立ちます。たとえばパーソナルカラーや体型。似合わない色の衣装やウィッグとわかっていれば、下地やファンデの色で物に寄せていくことができるし、色味で迷ったら自分が得意な方を選んだりできます。
私も最初全然そういうのに興味がなかったんですが、コスから少しずつ知識が広がって普段の方面での知識を吸収することもできたし、そこからまたコスにフィードバックさせることもたくさんありました。
そんな訳で、迷ってるならまずはぜひ挑戦してみてほしいです。楽しいよ。あんまり楽しくなかったら「良い体験でしたー!」って衣装売ったらいいんです。良きも悪しきも経験は宝なので、まずはぜひ体験を。
ではでは。
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