こういうコスプレ衣装、作ったことないけど作りたい! どうやったらいいのかな…
たまに聞かれるので、自己流だけど衣装製作の流れを軽くご紹介してみます〜!
トップ写真にここ1〜2年で型紙を引いた衣装をランダムでまとめてみました。が、正直、今は市販で便利な物がサクッと手に入るので買った方が早いことも多々です。
でも1から衣装を作ると既製品にはない以下のようなメリットがあります。
- ぴたっとした二次元のようなシルエットが得られる
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→既製品だと最大公約数的サイズになるのでどうしてもダボッとなる
- 生地を選ぶことで同じ形でも圧倒的に「映え」させられる
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→既製品だと基本はポリツイル、サテンは使われていてもテカテカ系
- 同じ金額なら圧倒的に豪華な衣装に仕上げられる
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→作る手間を度外視して全コストを資材代とすると、同じ予算でも業者製より豪華に作れる
- 基本的にやる気があったら何でも形にできる
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→既製品は売っていない=着られないだけど、自作すれば諦めなければなんでもコスプレできる!
気持ちが熱いジャストタイミングでの撮影の高揚感、作った物のフィット感、自分たちで選んだ布でできた衣装の可愛さは別格。自粛期間が続く今だからこそ挑戦できることもあると思うのでぜひ。
初めてでも、難易度の選定を間違えなければ、以下のように順を追って作れば誰でもちゃんと仕上げられますよ!(私のはほんとに素人の我流なので、順を追って作っていったら皆さんの方が効率よく作ってるかも…😂)
一からの自作コスプレ衣装の作り方・6ステップ
自作の衣装製作の手順は以下の通りです。
衣装を製作し始めると1週間は確実に「忙しい」状態になります。写真編集や本業、撮影自体のスケジュールと照らし合わせて、本当に作るべきなのか、あるなら買った方がコスパが良いのか、そこをまず判断です。
資料を集めながら、デザインを確認します。その衣装がどういう作りになっているか、それをどう作ったらいいかを順に確認していく作業と言い換えても良いかもしれません。
布の素材イメージも決めていきます。上のデザイン確認と同時進行になることが多いです。
作っていくための手順を整理しながら、ベースにする型紙を決める→出力・引き写し→デザインや体型に合わせる、の流れで型紙を完成させます。
使う布、それに合わせた糸やボタン、ファスナーなど、必要な資材を購入・手配します。
生地裁断→パーツの製作→縫い合わせ→確認をします。
この流れをもうちょっと詳しく書いていきますね。
作るかどうかを決める
作るメリットを最初にお伝えしましたが、そうは言っても作らないという選択が正解の場合もあります。
既製品衣装と自作衣装の仕上がりがあまり変わらない(むしろ安くて綺麗な)ことがあるからです。
たとえば制服系。学生服、白衣、ジャージなどは作っても買っても素材がだいたい同じ物になり、市販品の値段が自作での購入素材価格とさほど変わらなかったりする。そうなると自作するメリットが生まれません。
これは一枚目が業者製のジャケット、2枚目がサテン地で自作したジャケット。実際に見ると布の感じなどが違いますが、サイズさえ合えば写真だとそんなに大きな差はないと思います。
市販品の値段と、自作の材料費がほんの少ししか変わらないなら、手間賃を考えれば…と思いますよね。笑
また、あわせなら揃いで買う方が絵的にもまとまることが多いです。自作にも癖や好みがあるので、衣装の生地や仕上がりのクオリティを揃えるのって意外と難しかったりします。
このように、あんまり作るメリットがない場合は買う方がオススメかもしれません。下記のように、買った物にちょっと手を加えるだけでも楽しくコスプレできちゃうので。
逆に言えば、どう考えても自分で選んだ布で作ったら可愛い、自分で作った方が安いなどの場合は、メリットが大きいので自作する方がハッピーです。
そして、市販品は売ってないけど着たい。この場合は、本当に「作る」一択。
レッツ自作。
服のデザインの確認
作ると決めたらまず資料を集めます。これはあればあるだけ、解像度が高ければ高いだけ良いです。できれば大きめに出力して、製作中は常に手元に置くか貼っておくのがオススメ。
少なくとも全体画像の前後は押さえましょう。全体が見れないと話にならないので何はさておき全身が欲しい。
…のですが、ゲーム作品などで立ち絵の全身が設定として存在しない場合もあるので、その時は想像で補います。そういう場合は上半身は見えているので、下はそれに合わせたシンプルなパンツやスカートにすることになりますね。
細部や小物のカットもあればあるだけ作りやすいです。文字通り高解像度の資料があると助かりますが、そうそうないのでいろんな角度からのカットを集めて自分で理解の解像度を高めます。
集めた資料はひたすら眺め、構造を想像し、変なベルトが通ってるな〜とか、ベースの形は燕尾服だなとか、肩は普通の肩章だなとかを確認していきます。構造、その再現方法を順に確認していく作業です。
素材を決める
元絵のイメージから布の素材を決めていきます。イラストのツヤ感や現実のアイドルや装束の布のイメージから、これは革でスエードっぽい感じ、これは絹っぽいからサテンで、とかそんな感じです。
とはいえ、最初だと布の種類が全然わからないので、とりあえず以下の定番の3パターンの中から選んだら良いと思います。
- ツイル系
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制服とか、業者製衣装がだいたいこれ。なんか布の目がナナメになってるやつですね。だいたいポリエステルツイルと名前がついていますが、カツラギも同じツイル地の一つです。
じゃあツイルって何という話ですが、「綾織」の別名で、生地の名前というより織り方の種類の名前です。
安定感のある印象ですが、逆に言うとすごく普通になります。
- サテン系
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目の詰まった、滑らかなつるっとした生地。わかりやすい高級感があるので、ドレスやゴージャス系にはサテンが便利です。
ツイルの流れで言うと、「繻子織」の別名。
ちょっと高そうなイメージならマットサテン(ブライダルサテン)とかが多い気がします。
織りで地模様があるやつはジャガード系になります、私はジャガード系が大好き〜可愛い〜〜〜。
- 起毛系
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生地に毛足のある高そうな生地。ちょっとお高くて、襟とか袖だけに使ったりも多いです。
よく登場するのは、ベルベット(ビロード)、ハイミロン、別珍。ベルベットと別珍は似ているようで素材・毛羽の長さなどが異なりますし、ハイミロンは向きがない&端処理がいらないので少量使う時に便利。ただ、生地に含まれる糊でミシンの針がベタベタになるのはハイミロンの難点です…。
毛足の向きで見た印象が大きく変わるので、起毛生地は下から上に毛が流れるような向きで使いましょう(よく間違える)(間違えてた)。
私は最初何も知らずに布屋さんに行って頭がパンクしました。パンクしてる時間がもったいないので、混乱しそうになったらとりあえず最初はこのあたりから選んでみてはどうかと思います。
通販ではこのあたりのお店をよく利用しています。とらやさんのは通販はまだ使ったことないんだけど店舗利用させていただいておりましたゆえ…
あとは、衣装はシワが大敵だから綿は×、ポリが○ 意図して選ぶ場合以外、綿などの自然素材は扱いが大変なので、こだわりがなければ衣装製作ならポリエステル素材を選んでおくのが無難です。
型紙を準備
ここまでで作る衣装のデザインの確認し、素材を考えました。つまり、何を使ってどう作るかがイメージできました。次はそれをもっと具体的にします。そう、型紙作業です。
型紙と言うと単に切る布の形をした紙〜というイメージなんですが、実際の型紙作業は作っていくための手順、地図を描くという感じです。型紙は衣装製作の航路地図。
型紙作業は以下の3ステップです。
1・ベースにする型紙を決める
本や無料サイトから型紙を選んできます。私が使ってる型紙本やサイトはこちらにまとめたので良かったら合わせて見てみてください。
型紙や作り方にもクセや好みがあると思うので、解説の文章の感じや完成図の雰囲気で選んでみてください。
2・型紙の出力、あるいは引き写す
使う型紙が決まったら、データの型紙ならプリンターで出力して貼り合わせ、本からなら付属型紙を家にある紙に引き写して、原寸大の型紙を使う分だけ用意します。
薄紙があったらベストだけど、なかったらコピー用紙張り合わせてもいいし、一回きりなら白系のゴミ袋開いてマジックで写してもOK(ぺらぺらするけど…)。
3・希望の形に変えたり、自分に合わせてサイズ調整する
ベースの型紙をどう変えたら理想になるかを考えながらこねくり回します。前を短くあるいは後ろを長く変えたらいけそう…みたいな感じ。さっきの型紙を細くしたり太くしたり、切り貼りしながら様子を見ていきます。
だいたいの型紙は自分の体型とちょっとだけズレています。私の場合は腕周りは太すぎて、肩周りと胴丈が足りなくて、首は詰まりがち、とわかっているので、手持ちでちょうど良いサイズの衣装などを測って、それと比べながら直します。
必ず型紙の段階でつなぎ合わせて自分に当てて、絞るべき場所はある程度絞ってから次の段階に進みましょう。
あと、パーツ類をどうやって装着するかもこの時に決めておきます。造形物や装飾品を衣装と合体させる方法を考えずに作ってしまうと(やりがち)、後から本気で頭を抱えることになります…
そうなんです。型紙作業は、真面目にやらないと最後がめっちゃ大変です。さっさと手を動かしたい気持ちになるんですが、グッとこらえてこの型紙準備作業、じっくり真面目に丁寧にやってください。ぜひ。
ここまでに時間がかかりすぎて、これじゃ一生終わらんと感じると思いますが(私も毎回この辺で一回キレる)、裁断まで終わったら後はけっこうすぐになんとかなるのであとちょっと。頑張りましょう。本当に、ここで手を抜くと最後に泣きます(幾度も泣いてきた)。
布や資材の手配
資材の発注。使う布、それに合わせた糸やボタン、ファスナーなどを手配します。おうちになかったら芯地や裏地も一緒にチェックです。
この手配は型紙が完成し、必要な生地に対してのメーター数(要尺、または用尺ってやつです)がわかってから行なうのが理想なんですが…それをやるとちょっとタイムロスしちゃうので、ザクッとやることが多いですね…
シンプルな衣装だったらちょっとググるとジャケットならこのくらい、パンツならこのくらいと要尺が出てくるはずなので、初めてでもそれでザクッと発注して、あれこれ進めながらやるのがいいと思います。
多少布地が余っても、レイヤーしてたらまた使う機会あるから大丈夫! 足りないよりは余る方がいいので気持ち多めに買っておきましょう。
実作業
型紙ができて布が手元に用意できたら、あとは作るのみ〜! ここまでの下ごしらえ、思ったより長いですよね。そうなんです、なんでも自作するってそういうものなんです…
逆に、ここまできたらあとは案外早いです。型紙の作り方どおりに進めて、完成までたどり着きましょう。型紙段階から完成するまでの間は、何度でも自分に当ててサイズやバランスの確認をしてくださいね。面倒だけど「なんか変な気がするけど作っちゃおう」で進めると後で本当に後悔します(してきた)。
生地裁断→パーツの製作→縫い合わせ→確認→完成
となるはずです。このあたりでオススメのアイテムは別途まとめたのでご参考までに。
制作手順に書いてあるアイロン指示は省略、ダメ絶対。きれいな衣装はアイロンで決まる…。もし細部の作り方で迷ったら型紙でも登場した「うさこの洋裁工房」を頼りましょう。だいたいなんでも解説されています。うさこさんはすごい。
このあたりは人それぞれですが、実作業においては最初こそ基本通り、丁寧に、がきれいな衣装への近道だと個人的には思います。まずは基本の形をしっかり縫って作る経験を自分の中に積んでいくのが最優先。
端処理、適宜アイロン、芯地の処理をサボらず丁寧に進めていたら、わけわかんないで作っててもけっこうちゃんと仕上がります。ほんとほんと。
でも、逆に言えば最初は基本の作りをなぞることに時間がかかるので、最初は他はじゃんじゃん手を抜いていいと思います。裾? テープでもいいよ!! 飾りも困ったら安ピンとか両面テープで貼っとこ! 完成させるのが大切なので。ちなみに私はセリアの布用両面テープが一番好きです(ダイソーはベタベタになる)。
自作コスプレ衣装、とにかく試して作ってみよう
たまに、衣装作れていいな〜なんて褒めて(?)いただけてすごく嬉しいんですが、最初は私もきれいな布を買ってきて切って縫ってゴミを作った……時間とお金を溶かしてゴミを生んだ……みたいな衣装にならないゴミ作りばかりしていました。ゴミすぎて捨ててるからお見せできないのが残念ですが…
そういう失敗をした時は共通して「適当に作ったらできた」という先達の言葉を真に受けた時でした。経験者の「なんとなく」って経験の蓄積からくる閃きなんですけど、初心者のそれはただの無知のあてずっぽうなので、そりゃあ同じようにできる訳がなかった…。
で、初心者はまずはレシピ通りに作るってとこから始めて、上記の流れを繰り返し、何年かでやっと人並みには衣装が作れるようになったかな…というところです(2021年現在)。でも形にできるようにはなったけど、全然思い通りにはならないし、まだまだわからないことばかりなんですけども…
それでも、ゴミしか作れなかった私でも、考えながら手を動かしてたら、友達に褒めてもらえるあんスタのイベント衣装を作れるところまではこられました。なので、自分じゃ作れないよう〜という方もぜひ、最初の一歩を踏み出して、一緒に苦しくて楽しい衣装製作沼に浸かってほしいな〜って思います。素人衣装製作サンプルの一つとして、この記事が何か参考になったら嬉しいです。なるか…? なってたら…嬉しいです……!
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